遺言について

遺言書の種類と書き方|無効にならないための注意点

更新 監修:行政書士 渡邉 徳人

遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があり、書き方を一つ間違えると無効になることもあります。それぞれの違いと、法務局の保管制度、公正証書のデジタル化など最近の変化もあわせて説明します。

この記事のポイント

  • よく使われるのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。
  • 自筆証書遺言は、2019年から財産目録だけはパソコンで作れるようになり、2020年からは法務局に預けられるようになりました。
  • 確実さを重視するなら、公証人が作る公正証書遺言がおすすめです。

遺言書の3つの種類

遺言書の種類と違い
自筆証書遺言
  • 費用がかからず、思い立ったらすぐ書ける
  • 財産目録はパソコン・通帳のコピーでもよい
  • 書き方を誤ると無効になるおそれ
  • 亡くなった後に家庭裁判所の「検認」が必要
自筆証書遺言+法務局で保管
  • 原本を法務局が預かるので、紛失・書き換えの心配がない
  • 検認がいらない
  • 手数料 3,900円。本人が法務局へ出向く
  • 内容が有効かどうかまでは見てもらえない
公正証書遺言
  • 公証人が作るので、形式の誤りで無効になる心配がほぼない
  • 原本は公証役場に保管。検認もいらない
  • 財産の額に応じた手数料がかかる
  • 証人2人の立ち会いが必要

このほか、内容を秘密にしたまま公証役場で存在だけを証明してもらう「秘密証書遺言」もありますが、利用はごく少数です。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で手書きし、印鑑を押すことが必要です。2019年1月13日からは、財産目録(不動産や預貯金の一覧)に限り、パソコンで作ったものや、通帳のコピー・登記事項証明書を添付する方法が認められました。この場合、目録のすべてのページに署名と押印が必要です。

こんな遺言書は無効になります

  • 本文をパソコンで作った(財産目録以外)
  • 日付が「令和8年10月吉日」など特定できない
  • 家族が代わりに書いた(代筆)
  • 署名や押印がない
  • 夫婦が1枚の紙に連名で書いた(共同遺言)
  • 認知症が進み、内容を判断できない状態で書いた

このほか、録音や動画で残した「遺言」にも、法律上の効力はありません。

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」

2020年7月10日から、自筆証書遺言を法務局に預けられるようになりました。本人が法務局に出向き、手数料3,900円で預けます。法務局では日付や署名などの形式を確認してくれるため、形式の誤りで無効になる心配が減ります。

  • 亡くなった後、家庭裁判所の検認がいらない
  • 相続人は、全国の法務局で遺言書があるかを調べられる
  • あらかじめ指定した人に、亡くなったことを法務局から知らせてもらえる

ただし、法務局が確かめるのは形式だけです。分け方が遺留分を侵害していないか、内容があいまいでないかまでは見てもらえません。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言する人が公証人に内容を伝え、公証人が文書にまとめるものです。証人2人の立ち会いが必要で、手数料は財産の額や、もらう人の数によって決まります。

2025年10月1日からは、公正証書の作成手続がデジタル化され、公証人が認めた場合にはウェブ会議で作成したり、原本を電子データで保存したりできるようになりました(対応している公証役場から順次)。

どれを選べばいい?

選び方の目安
  1. まず考えを整理したい自筆証書遺言で、財産と分け方を書き出してみる
  2. 費用をおさえて確実に残したい自筆証書遺言を法務局に預ける
  3. もめごとを確実に防ぎたい公正証書遺言。不動産が多い・相続人が多い場合に

どの方法でも、遺留分への配慮や、財産の書き方(不動産は登記簿どおりに書くなど)で迷う点は多くあります。お近くの専門家に相談しながら作ると安心です。

参考:法務省「自筆証書遺言書保管制度」、法務省「公正証書の作成手続のデジタル化」、日本公証人連合会

よくある質問

自筆証書遺言はパソコンで作れますか?

本文はすべて手書きが必要です。2019年1月から、財産目録だけはパソコンで作ったものや通帳のコピーを添付できるようになりました(各ページに署名と押印が必要)。

法務局で遺言書を預かってもらうと、どんな利点がありますか?

紛失や書き換えのおそれがなく、亡くなった後の家庭裁判所の検認がいりません。手数料は3,900円です。ただし内容が有効かどうかまでは確認されません。

公正証書遺言と自筆証書遺言はどちらがいいですか?

確実さを重視するなら公正証書遺言がおすすめです。公証人が作るため形式の誤りで無効になる心配がほとんどなく、原本も公証役場に保管されます。

遺言相続の疑問や不安は、お近くの専門家にご相談ください。ご依頼は各専門家と直接契約、中間マージンはありません。

お近くの専門家を探す