相続について
遺産分割協議とは?進め方と協議書・特別受益のこと
遺言書がない相続では、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必要です。進め方と協議書の作り方、生前に多くもらった人がいる場合の「特別受益」、2023年から始まった10年の期限まで説明します。
この記事のポイント
- 遺産分割協議は相続人全員で行います。一人でも欠けると無効です。
- まとまったら遺産分割協議書を作り、全員が署名・実印で押印します。
- 2023年4月から、相続開始から10年たつと、特別受益や寄与分を主張できなくなりました。
遺産分割協議の進め方
- 相続人を確定戸籍を集めて、全員を確かめる
- 財産を一覧に財産目録を作り、全員で共有する
- 話し合う集まっても、郵送やメールでも構わない
- 協議書を作る全員が署名し、実印を押す
- 名義を変える銀行・法務局などに協議書を出す
協議に参加できない人がいるとき
| こんなとき | どうするか |
|---|---|
| 相続人に未成年者がいる | 親も相続人なら、家庭裁判所で「特別代理人」を選んでもらう |
| 認知症などで判断が難しい人がいる | 家庭裁判所で「成年後見人」を選んでもらう |
| 行方がわからない人がいる | 家庭裁判所で「不在者財産管理人」を選んでもらう |
| 話し合いがまとまらない | 家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用する |
遺産分割協議書の作り方
- 亡くなった方の氏名・亡くなった日・最後の住所を書く
- 誰が、どの財産を受け取るかを具体的に書く(不動産は登記事項証明書どおり、預金は銀行名・支店・口座番号まで)
- あとで見つかった財産を誰が受け取るかも決めておく
- 相続人全員が署名し、実印を押して、印鑑証明書を添える
分け方は4つ
- 家は長男、預金は長女など、そのまま分ける
- 価値をぴったりそろえにくい
- 家を受け継いだ人が、ほかの人にお金を払う
- 払うお金の準備が必要
- 売ってお金にしてから分ける
- 売却の手間と税金がかかる
- 持ち分を決めて共有にする
- 後で売るにも全員の同意が必要で、もめやすい
特別受益とは
相続人の中に、亡くなった方から生前に多くの援助を受けていた人がいる場合、その分を遺産に足し戻して(持ち戻して)取り分を計算します。この援助を「特別受益」といいます。
- 遺言でもらった財産(遺贈)
- 結婚や養子縁組のための援助(持参金など)
- 生活の元手としての援助(住宅の購入資金、事業の開業資金など)
遺産は3,000万円。相続人は子AとBの2人。Aは生前に、家を建てる資金として1,000万円をもらっていた。
(3,000万円 + 1,000万円)× 1/2 = 2,000万円
Bの取り分は 2,000万円、Aは 2,000万円 − 1,000万円 = 1,000万円 になります。
亡くなった方が「持ち戻さなくてよい」という意思を示していれば、持ち戻しは不要です。また2019年7月からは、結婚20年以上の夫婦の間で、住んでいる家や土地を贈与・遺贈した場合は、持ち戻さなくてよいという意思があったものと推定されるようになりました。
反対に、亡くなった方の事業を無償で手伝った、長く介護をしたなど、財産の維持や増加に特別に貢献した相続人は、「寄与分」として多く受け取れることがあります。
2023年からの「10年」の期限
遺産分割協議そのものに期限はありません。ただし、2023年4月1日からは、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなり、原則として法定相続分で分けることになりました(それより前に始まった相続は、2028年3月31日まで猶予があります)。不動産の相続登記も3年以内の義務があるため、早めに話し合いを始めましょう。
参考:民法(第903条、第904条の2、第904条の3、第907条)、法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
よくある質問
遺産分割協議は相続人の一部だけでできますか?
できません。相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けると無効になります。
遺産分割協議に期限はありますか?
協議自体に期限はありませんが、2023年4月から、相続開始から10年を過ぎると特別受益や寄与分を主張できなくなりました。
特別受益とは何ですか?
相続人が生前に受けた結婚資金や住宅資金などの援助のことです。その分を遺産に足し戻して、各自の取り分を計算します。
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