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成年後見制度が変わります|後見・保佐は「補助」に一本化、必要がなくなれば終われる仕組みに

監修:行政書士 渡邉 徳人

2026年6月の民法などの改正で、成年後見制度が大きく見直されることになりました。後見・保佐・補助の3つの類型が「補助」にまとめられ、必要な範囲だけ・必要な間だけ使える制度になります。認知症の親の財産管理や、遺産分割に関わる方に向けて、何が変わるのかをまとめました。

この記事のポイント

  • 2026年6月17日に民法などの改正法が成立し、6月24日に公布されました(遺言の見直しと同じ法律です)。
  • 今の「後見」「保佐」は廃止され、「補助」に一本化されます。本人に必要な範囲でだけ使う制度になります。
  • 必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、途中で利用を終えられるようになります。
  • 始まるのは公布から2年6か月以内の政令で決める日です(2026年10月時点では未定)。

成年後見制度とは

認知症や知的障害、精神障害などで判断する力(判断能力)が不十分な方のために、家庭裁判所が選んだ人が、本人に代わって契約をしたり(代理権)、本人が結んだ不利な契約を取り消したり(取消権)して、本人を守る制度です。相続の場面では、相続人の中に判断能力が不十分な方がいると、遺産分割協議を進めるためにこの制度を使うことがあります。

今の制度は、判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。とくに後見は、本人の財産全体について代理権を持つ仕組みで、「本人の意思が尊重されにくい」「一度始めると原則としてやめられない」といった声がありました。

変わること① 「補助」に一本化され、必要な範囲だけに

今の制度と、改正後の制度
今の制度
  • 後見・保佐・補助の3つの類型
  • 後見は財産全体について代理権を持つ
  • 判断能力が回復しない限り、原則として続く
改正後
  • 補助の1つにまとめる
  • 本人に必要な範囲で、代理権などを付ける
  • 必要がなくなれば、利用を終えられる

判断能力が不十分な方は、すべて「補助」の対象になります。補助人に任せる内容は、本人に必要な範囲で家庭裁判所が決めます。また、補助人は、本人の心身の状態に応じた適切な方法で、本人の意向を把握するように努めなければならない、というルールも入ります。

変わること② 判断能力を欠く方には「特定補助人」

判断能力を欠くのが通常の状態にある方のために、家庭裁判所は「特定補助人」を付けることができます。特定補助人は、本人がした法律で決められた重要な財産上の行為を取り消す権限などを持ちます。今の後見に代わって、本人が大きな不利益を受けないようにする仕組みです。

変わること③ 必要がなくなれば終われる・補助人を交代できる

  • 必要がなくなったと認められるときは、家庭裁判所が補助の審判を取り消すことができます。たとえば、ある手続きのために利用を始めて、その必要がなくなったときに、利用を終えられるようになります。
  • 本人の利益のために必要があるときは、家庭裁判所が補助人を解任できるようになります。本人に合った人に交代しやすくなります。

任意後見も見直されます

任意後見は、元気なうちに、将来判断能力が衰えたときに支援してもらう人と内容を、契約で決めておく制度です。今回の改正で、明らかに監督の必要がない場合は、任意後見監督人を選ばないことができるようになります。また、本人が補助開始の審判を受けたときに任意後見契約が終わるという規定がなくなります。

いつから変わるの?

成年後見制度が変わる時期
  1. 2026年6月
    改正法が成立・公布6月17日に成立、6月24日に公布されました
  2. 2028年12月まで
    新しい制度が始まる公布から2年6か月以内の、政令で決める日から

始まる日は、これから政令で決まります(2026年10月時点では未定)。

始まるまでは今の制度のままです。今、後見や保佐を利用している方の扱いは、改正法の附則で経過措置が定められています。施行日が決まったら、法務省や家庭裁判所の案内を確かめてください。

今のうちに考えておきたいこと

  • 親が高齢の場合、判断能力が衰える前に、任意後見契約や遺言で備えておく
  • 相続人に判断能力が不十分な方がいる場合、遺産分割の進め方を早めに相談する
  • 今すぐ支援が必要なら、新しい制度を待たずに今の制度の利用を考える
  • 今、後見や保佐を利用している方は、施行日と移行の案内に気をつけておく

どの備えがよいかは、ご本人やご家族の状況によって変わります。お近くの専門家にご相談ください。

出典:法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」(2026年6月)、参議院「民法等の一部を改正する法律案(第221回国会 閣法第43号)議案要旨」

よくある質問

成年後見制度はいつから変わりますか?

2026年6月24日に公布された改正法で、公布から2年6か月以内の政令で定める日から変わります。2026年10月時点では、始まる日はまだ決まっていません。それまでは今の制度のままです。

後見や保佐はなくなるのですか?

はい。後見と保佐は廃止され、補助に一本化されます。本人に必要な範囲で補助人に代理権などを付ける仕組みになり、判断能力を欠くのが通常の状態の方には、重要な財産上の行為を取り消せる特定補助人を付けることができます。

一度始めた成年後見をやめることはできますか?

今の制度では、判断能力が回復しない限り原則として続きます。改正後は、必要がなくなったと認められるときは家庭裁判所が補助の審判を取り消すことができ、利用を終えられるようになります。

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